第2部 対談「市長の思う魚沼元気」

魚沼市長 大平悦子
魚沼市まちづくり基本条例検討委員会委員長 平井正尚

対談

 

(平井)市長とは合併ビジョン検討委員会からの付き合い。市長になって1年2ヶ月経った。率直な感想をお願いしたい。

(市長)行政には全く素人だった。小出町の議員を1年半、魚沼市の議員を4年間したが、外で見るのと中でやるのとは違う。就任してからいろいろあった。復興基金は一定の方向は出したが終わっていない。苦労したが良い試練だと思っている。いろいろと見えてきた。改革はこの1年で出せなかったが、いろいろやっても壊すことは簡単だか作り直すことは難しい。この1年は魚沼市の状況を見てきたが、平成22年度からはいろいろ実行したい。

(平井)市長の思う“魚沼元気”について。これは5周年記念の協働でつくりあげた市の歌のタイトル。守門の大塚さんの原題は「四季うおぬま」だった。魚沼特使の喜多條さんの奥さんは守門の人。喜多條さんが“魚沼元気”にしたのは、歌詞の中にそのフレーズがあって気に入って、それをタイトルにした。が、裏を返すと元気がない、ということ。合併後6年目で、地震のことも風化してきた。閉塞感や、合併しても一体感がないということも聞かれる。どう感じるか。

(市長)閉塞感は、合併したから、ということではなく、日本、世界的な不況が地方にも及んで、そういった時期と重なっていることもある。“合併の弊害”と聞かれることもあるが、合併したからなのか、合併していなくてもそうなったのか、はわからないこと。何か、マイナス思考になっている。そうなると方向が見えなくなる。

(平井)閉塞感・・・まちづくり委員会が2年経った。基本条例より先にできた。運営のシステムの「地域担当職員」は合併後の急激な変化を緩和するために、6つの庁舎に地域担当職員を置いてやるイメージだったが、総合事務所から市民センターになって、地域振興室は湯之谷庁舎の中になっている。入広瀬には市民センターと観光分室、支援員しかいなく、置いていかれた感がある。嘱託員、区長が気軽に近くの庁舎に行って相談できない。
 情報公開、協働とか言っているが、地域担当職員が地域に関わることが重要と考えるがどうか。

(市長)入広瀬について、自分たちのところだけ何もなくなるのか、と言われる。地域担当職員は現場もよくわかるし住民も安心できる。あっても良いと思う。
 庁舎の基本は一本化という考えの中で。予算もあって、複数庁舎を考えている。自分のところに無くなったら……となってくると、地域担当職員は重要になると思っている。

(平井)上条、須原のコミュニティ協議会で雪像を作った。小学生から70代のお年寄りまで共同で作ったもので、コミ協活動の第1歩だと思う。羽川谷でもコミ協の準備会ができている。東湯之谷小学校でも、今、準備会の準備会をやっている。魚沼市の中の地域分権で地域が元気になれば、市も元気になるのではないか。地域担当職員は重要だ。まちづくり委員会はまだ行政の支援が必要だ。

(市長)今、魚沼市には5つのコミ協がある。小出にはもともとある。合併後、20地域作ろうというのが目標。
 上条の雪像は見に行った。地域力があると感じた。行政からではなく、地域から盛り上がってほしい。行政からのサポートは必要だが、地域からリーダーになってもらいたい。今年、1地域に年100万円の補助をする予算を作った。20地域だと2千4百万円になるが、これは安いと思う。里山整備など、地域での整備も可能。協働は重要で、期待している。

(平井)基本条例の9条に、条例の見直しができるようにもなっている。
  協働の中で、行政は丸投げであってはいけない。提言書の2項目目に、自分たちもやろう、とうたった。市職員もやってほしい。○○審議会などに市民やプロも参加しているが、行政の方からも、文化会館のアウトリーチのような形もとってほしい。今日も市職員がいるが、市職員の意識も変えてほしい。協働、参画は市民側に飛び込んでほしい。

(市長)市と住民の協働は見えてこないと感じている。コミ協は丸投げではない。情報公開が一番悪い。市が何をやっているのかわからない。この点は市からの出し方が悪い。今後見直して、もっと計画段階から出したい。出しても見てもらえなかった部分もあるので、出し方も工夫しなければならない。市職員の意識、職員の怠慢などで謝らなければならないこともあり、綱紀粛正にも力を入れたい。職員研修も、現場に密着したものにしたい。職員の能力はある。組織の問題もある。市長の考えが下まで伝わっていないし、職員の考えも市長に伝わっていない。

(平井)情報公開については、基本条例を検討する中で、情報公開条例があるのでこのことは入れなかったが、スキー場の問題について元々は行革委員会からでたもので、その後市民の皆さんに出た。計画の段階から市民参加があってもよかったのではないか。これからはそうしないといけない。温泉施設などの整理もこれからあるだろうから。

(市長)市長になってから、スキー場や庁舎の再編を示した。最初は議会の委員会に報告した。その後新聞に出た。が、議会全体への説明がまだだったので批判がでた。スキー場は広神、堀之内にはない。5箇所あるスキー場をやめるには、地域で引っ張り合いになる恐れがあった。
 これからはまちづくり委員会とも相談させていただきたい。

(平井)市長が蹴ったボールが各庁舎まで届いていない。分庁舎であるがゆえのデメリットだ。庁舎再編検討委員会のとき、このことについてディベートをして、本庁舎方式にすることになったが、それが複数庁舎にするということになった。市長が全ての庁舎を把握することは難しい。市長のところに情報がきちんと集まってくることが重要だと思うが。

(市長)分庁舎は早く解消したい。仕事がやりにくい。守門から来てほしい、というと、30分かかる。また、各庁舎に課長・・・管理職がいても、すぐには会えない。また、現場で何が起きているか見えない。庁舎の統合は市役所職員の都合と言われることもあるが、それもそうで、しかし、それによって市民のためにもなることだ。

平井正尚

大平悦子

 

(平井)まちづくり委員会の運営委員が20人いるが、合併ビジョン検討委員会が原点。事務局は各町村から集まってきていて、いろいろなことを決めた。そういったかたちをとれないだろうか。
 “環境施策元年”について、市長の思うところを聞かせてほしい。

(市長)なぜ環境か、ということについて。全国市長会では、話題は環境が多い。市策に冠をつけるとわかりやすい。環境都市宣言をしたので、これにしよう、と思った。“元年”にすれば、1年だけではなく、継続できる。
 何をするか、については、魚沼市は自然に恵まれていて、水もきれいで豊富にある。一番住みやすいまちだ。よいものをもっと発言したい。学校で環境学習を、ということで、小学5年生全員が尾瀬に行って環境教育をすることにした。すばらしい教材も作った。里山の整備から新たな産業も。ペレットや薪ストーブ、地元産木材で建物を、など。

(平井)どう市民が関わっていけばよいか。何を期待しているか。

(市長)住民の皆さんから提案してほしい。産業の方からこんなものがある、といったことも。

(平井)環境は広い、大きなテーマ。鳩山内閣も二酸化炭素の排出を25%削減する、と言っている。
 市ではバイオマスタウン構想を作って、推進協議会も作った。有機センターで堆肥も作っている。そうした周知も必要。鳥獣被害もある。去年、うおぬま里山まつりでイベント型カーボンオフセットを実施した。これから、イベントでチケットにオフセット代を入れて環境整備をするといった市民参加の方法もある。良いと思うがどうか。

(市長)いいですね。そういうことだと思う。市が環境、と言ったことに対して提案してほしい。大きいことではなく、できることから参加してもらうこと。上条コミ協の雪像のように自慢できて元気になることが良い。
 提案して、やってもらって元気になることを期待している。

(平井)医療面での元気について。
 お年寄りが増えているので、基幹病院より、身近な小出病院や堀之内病院、守門診療所の方が気になる。守門診療所まで患者移送バスや、スクールバスや循環バスを小出病院や堀之内病院に使うローカルルールがあっても良いのではないか。

(市長)子宮頸がんのワクチン接種については、市長就任早々に小出病院から提案があった。私も友人を亡くしている。この助成で人が助かる。今、病院の先生と良い関係があるので、こうした情報をもらえた。現場の先生と連携したい。新しい小出病院は重要。平成22年度から新病院対策課を作る予定。体制を強化したい。基幹病院に対して小出病院は地域医療を担う。診療科を減らして高齢化社会だからやらなければならないことをやりたい。

(平井)医療面も健康都市宣言をしているのでがんばってほしい。プロのシンクタンクを頼むとお金がかかるが、市民の意見も大事。市民目線で市長に当選したのだから。
 市民は、老年、中年、若い人といろいろいる。青年会議所でボストンとリップという青年提案会をやったことがあるが、すばらしい考え。まちづくり委員会は人が集まらないが、すばらしい考えを持っている人はたくさんいる。
 広報しても見てもらえない。広報は重要と思うが、どうか。

(市長)どうやったら情報提供をできるのか。若い人はインターネットを見ることができるが、そこに行かないと見ない。各家庭に配る広報の方が見てもらえる。平成22年度には内容を検討する。

(平井)市に対して言いたいことは言いたい。市職員からも現場に飛び込んで、共に汗を流してお互いに良いまちにしたい。
 市民憲章、行革からも協働を提言されている。これからもがんばってほしい。

(市長)非核平和都市宣言で中学生を広島平和記念式典に参加してもらう予定。課長会議でも市民憲章を唱和している。
 少しずつやって行きたい。