第8回地域産業部会

第8回地域産業部会 議事録

○日 時   平成24年2月15日(水) 19:00~

○会 場   小出庁舎 3階 301会議室

○内 容

1.魚沼市農業公社 事務局長 福中康次さんから、福山の峠の雪室について説明

(1)峠の雪室の歴史について

旧守門村時代に、雪を活用できないかということから農林水産省の中山間地域総合整備事業を活用して、平成12年度に雪室を整備し、野菜の貯蔵や出荷の調整、玄米の保管等を行っています。

 

(2)雪室の構造について

外観は三角形の形をしており、鉄骨造りで広さは437平方メートルあります。真ん中に約100平方メートルの貯蔵室があり、その周囲を囲むようにして雪を溜めておくスペースが約109平方メートルとなっています。雪をどのようにして入れるのかというと、ロータリー除雪車によって直接投入します。今ですと万年雪化しており、氷になっています。その年の暑さにも因りますが、だいたい投入した量の半分くらいは残っています。
 現在貯蔵しているものはほとんどがお米で、その他には加工用の大豆やアスパラガスなどの野菜となっています。
 中の温度は通年2℃くらいで、湿度は97%です。この湿度が曲者で、お米をそのまま貯蔵していると夏ごろにはカビが発生してしまいます。なのでそれらを防ぐためにビニール等で包んで、外気に触れないようにして貯蔵します。
 お米の量ですが、30kgの袋が約1000袋あり、半分くらいは長岡の会社のお米です。残りは農業公社のお米と地元の方のお米となっています。かつては大豆を加工して味噌作りも雪室で行っていたのですが、冬場になると無人になり水道が使えないため作られなくなりました。
 雪室の近くには自然体験用の施設もあり、その管理人が雪室も同様に管理しています。夏場には自然体験に来た人達が、涼むためにも使われています。
 現在お米が貯蔵量の大半を占めていますが、夏ごろまでにはほとんど出荷されますので、それから新米が取れる間でしたらスペースが空いていますので、いろいろなものを貯蔵しておくことは可能です。

 

(2)意見感想・質疑応答

  • 利用料金が安すぎるのではないか。もっと高くてもよいのでは。

質問1:雪室に入れている農産物の中で、やはりお米が一番適しているのか。

回答1:新米が取れた時期に入れておいて次年度に出すと新米よりも良くなっています。新米ですと味が荒々しい感じなのですが、雪室である程度貯蔵したものは味がマイルドになっています。

 

  • 単に雪室に入れただけでは、農産物や加工品に付加価値がつかない。実際に雪室に来てもらって食べてもらったりしなければ、雪室に入れた品物と入れなかった品物の違いは判り難い。その違いを消費者にわかってもらい、それが広く知られるようにならないと売っていくには難しいと思う。
    また施設自体にもお金が掛かるので、雪室自体を普及させるためにも雪室に入れた商品は必ず売れて、利益がでるのだと生産者を説得できないと普及は難しいと思う。

 

  • 商業ベースの貸し倉庫だと、使用料がもっと高くないと利益が出ない。今の料金は、守門村時代の料金をそのまま引き継いでいると思うので、今後は地元の人は別にしても外部の利用者等にはもっと料金を上げるべきではないか。

 

  • お米を貯蔵しているうちの半分が長岡の会社だというのはおもしろくない。もっと市内の利用者を増やして、市内のお米を入れるようにしたほうが良いのでは。折角魚沼市にいい雪室があるのに、利用しているのは市外の人達ばかりというのは良くないと思う。

質問2:雪室の平面図を見ると、片側にだけ雪の投入口があるので、反対側にはどうやって雪を入れているのか。

回答2:貯蔵室自体は高さが3メートルほどしかないので、投入口から除雪車で反対側まで飛ばすことができます。

 

質問3:貯蔵する時に、湿気るのを防ぐためにビニールなどでお米を包むのはわかるが、いきなり外に出すと温度差によって結露ができると思う。雪室の中で、外との温度変化を緩やかにする場所みたいなものはあるのか。

回答4:平面図の中に、オーバードアという場所があるが、ここが外との温度変化を緩やかに行う慣らし場所になっており、貯蔵していたお米などはここにしばらく置いた後運び出すことになっている。

 

  • 昨年安塚地区に行った時に説明を受けたが、きっちりビニールで包装しておけば外部に出した時結露はするがそれはビニールの表面だけで内部は大丈夫だと聞いた。またビニールに結露が付かなくなれば、ビニールを外しても中のお米は結露しなくなるそうです。

質問5:資料には冬季以外は農産物の直売所が開設され、夏場を中心にたくさんの人々が訪れ、交流の拠点となっているとあるが、今でもそうなのか。そうであるならば、そこをもっと様々な形で活用できないのか。

回答5:今は特にやっていない。周辺にはキャンプ場や釣堀などがあるが、商業施設として直売所をしっかりとやっているわけではない。

 

質問6:現在、福山にある戸数はどのくらいか。またそこにいる人達が雪室を利用しているのか。

回答6:だいたい70~80戸で、その地元に住んでいる方々が利用している。

 

質問7:福山には雪室で寝かせた化粧品を作っている会社がなかったか。

回答7:それは玉川酒造さんだったと思う。福山ではない。

 

  • 雪室で貯蔵することによる科学的な利点が解明できれば、雪室はもっと活用できるし広まっていくと思う。何とかそれを調べて解明することはできないか。そのうち安塚地区の雪だるま財団の方々が解明するかもしれないが、いつになるかはわからない。例えば魚沼でも、それを調査するための団体等を作ったりできないのか。

 

  • 野菜であれば、雪室で貯蔵すれば自らの身を守るために、でんぷんを糖に変えるので、甘みが増したりする。お酒であれば、どう美味しくなるかはわかっていないが、緑川の社長さんに言わせるとあれは美味しくなっているのではなく、絞りたての時のまま劣化せずに貯蔵できるだけだとそうだ。絞りたての酒であれば美味しいのは当たり前で、大抵の人はそれを飲んだことが無いから雪室に貯蔵したお酒が美味しく感じる。しかしあれは、絞りたての状態のまま劣化せずに貯蔵できるから美味しく感じるだけだということだそうである。

 

  • この地域であれば、作ったお酒やお米を雪室に入れておけばブランド化できるが、例えばよその地域からその雪室を貸してくれといわれて、そうすれば何割か高値で売ることができる。そのうちの何%かを魚沼市に払いますというような図式を作るためには、やはり雪室に入れたらどのように変化して、このように美味しくなるというような科学的根拠が無ければ難しいと思います。

 

  • 実際に福山の住民に、峠の雪室について聞き取りなどをしてみてもよいのでは。実際に入れて食べたりしている方々に感想などを聞けば、いろいろとわかることもあるのでは。

 

 

2.第3回魚沼市まちづくり市民会議でのファシリテーターの選出について

ファシリテーター:三友泰彦、猪又孝、韮澤芳子、鈴木洋、長尾政利

 

 

3.福中さんの話しを聞いての感想や意見

  • 福山の雪室は、余り活用されていないように感じる。預けられているお米も大半が長岡の会社というのはよくない。また利用料金等もこれまで改定されている様子がなく、守門村時代のものを継続している。地元の人は別にしても、市外からの利用者については、もっと利用料金を上げるべきではないか。今のままでは安すぎる。それで利用人数が減るようであれば、もっと市内で広報をして利用者を増やしていけばいい。
  • 折角高い予算で雪室施設を作って、隣接して自然体験施設もあるのだから、もっと様々なことに活用していくべき。今のままでは宝の持ち腐れ。
  • 最近若い農業者と全く分野が違う人達が協力して、新しい農業体験を行っているところもあります。普通の農業体験では、きっちり畑仕事や田植えなどを行うイメージですが、最近南魚沼市の大和地区の事例では、きっちりやらないそうです。きっちりやるメンバーとして専業農家の方がいますが、それ以外の人はそこまでやらず少しだけ体験して、後は料理をつくったりコンサートをやったりして遊ぶそうです。それが楽しいものですからリピーターがかなりいるそうです。この仕組みでいいところは、ちゃんと専業農家がいるので、その人達が世話をしっかりしてくれるところです。またその専業農家の人達は、親も専業農家でまだ元気で働いているものですから、自分たちはそこまで一生懸命やらなくてもよいので、その分の時間をこういったイベントに使っているそうです。
    魚沼市でもこういった取り組みができないかということが考えられていますし、守門や入広瀬のほうの耕作放棄地、特に水源地で特化した農業をやろうともしています。他の地域ですと、近くの農地との関係もありますのでなかなか自由にやることはできませんが、水源地であれば自由にそれができるそうです。例えばタイなどで食べられているインディカ米という長粒米を作って、それを使ったカレーを食べさせるお店を出すなど、そのようなことも面白いのではと考えているそうです。あるいは古代米みたいなものを作ってみてもいいのではとも思っているそうです。
    またこのような活動を通して、過疎地域や限界集落と呼ばれている地域をそうでなくしたいという考えも持っている人がいるそうです。そのための話を進め始めているそうなのですが、なかなか忙しい方ですし昨年の水害でかなり農地が傷んでいるようでそれをどうするのか、という問題も新たに出てきています。いろいろと難しい面もありますが、本当に実現すれば魚沼市の農業で新たな希望が出るのではないかと思います。
  • 米を作るところまでは、これまでのお話を聞いた中では魚沼市だけでも十分できると思うが、今度はそれをどのようにして売っていくか、経路について問題になると思う。
    今湯沢駅では、爆弾おにぎりというのを売り出している。600円~700くらいの値段で高いものだと1000円くらいする。それが年間5万個売れるそうです。だいたい300日売るとすると、1日当たり約160個売っていることになる。休日や祝日はどれだけ売っているのかと驚いた。このおにぎりは握り置きをせず、皆売る時に作っているそうで、新潟駅にもお店を出してみないかと誘われてもいるそうです。
  • 先程こちらで作った長粒種のお米を東京に持って行って、それを使ったカレー屋を出すというような話があったが、できれば東京に持って行くのではなくてこちらに観光客に来てもらって、ここで作ったこだわりのお米を使った料理などを食べてもらう、お米を販売するといったことをしないと、いつまでたっても魚沼市が活性化していかないと思う。
  • まだまだ新潟県は、関東圏から近くて早く来ることができるということが知られていない。それがもっと知られて、名物になるような観光客が来たくなるようなものがあれば、魚沼市にもっと人が来てくれるようになると思う。

 

4.次回の日程

○日 時  平成24年3月21日(水) 19:00~
○会 場  小出庁舎 3階 301会議室