第2回教育文化部会

平成23年度第2回教育文化部会 議事録

○日時   平成23年7月14日(木)   19:00~21:00

○会場   小出庁舎 3階 301会議室

○内容

1.あいさつ   部会長

 

2.報告事項

  • 魚沼市観光振興基本計画策定委員
    魚沼市行政改革推進委員会
  • ワールドカフェまとめの結果について
  • まちづくり委員会だより 7月6日:第1回編集会議(9月10日発行予定)
  • 議会との懇談会について

 

3.勉強会「魚沼の伝統文化を学ぶ」

 小正月とは、1月14日~15日を中心にした正月のことである。関西ではコドシと言われている。月の満ち欠けで日数を数える旧暦の名残になる。満月をもって第1日とする。したがって1ヶ月は満月の15日から次の14日までで、古代暦では満月の夜の翌日1月15日が年の始まりの正月になる。太陽暦になってから旧暦の名残を合わせるため、1月1日を「大正月」、15日を「小正月」と呼ぶようになったという説が定着している。元服(11歳から17歳)という行事は年の初めの元日に行った。この元服の日を成人の日としたので古代暦に遡る祝日といえる。一番歴史のある休日であり、暦の歴史に深く関わっている

 大正月の行事は家長が中心となり、祖霊を迎え1年の諸々を祈願する厳粛な行事である。一方、小正月行事の特徴としては、農業の豊作を願う行事がほとんどである。小正月の方が庶民の生活の中では重要な正月といえる。「鳥追い」・「もぐらたたき」・「成木責(なるきぜめ)」などがあり、これらの行事を集約して、あらかじめ1年間の災厄を払う「さいの神」の火祭りが行われる。大きな神社では1月15日過ぎに作況占いをしているところがほとんどである。6月の「菖蒲たたき」や7月1日の「衣脱(きんぬ)ぎ正月」(半年後の正月)など、日本ではこまめに厄払いの行事をしていた。厄払いを事前にやるという日本人の信仰理念があったと考えられる。

 では、「さいの神」とはどういう神様なのかというと、数多い民間信仰の中で最も定義づけができない原始神のひとつである。「古事記」に出てくる「黄泉平坂(よもつひらさか)」の故事に関係している。いざなぎ(男)といざなみ(女)のみことという、男女を初めて意識した神の話である。2人は夫婦となったが、火傷をして黄泉の国へいってしまったいざなみと再び合うも、変わり果てたいざなみに追われ、途中の黄泉平坂で黄泉の国とこの世を大石で塞ぐという話がある。この大石が「塞(さい)の神」であったといわれる。これは神道の祝詞の中にも出てくる。いざなぎがこの世に帰ってきてみそぎをしたことも祝詞にある。いざなぎがみそぎで顔を洗って神を生む話も神道に影響を与えている。アマテラスオオミカミ、ツキノオノミコト、ササノオノミコトなどが出てくる。このみそぎが、「塞の神」としてすべての悪災を払うもので、魚沼ではそれを石像として祀る道祖神と一体で行事が行われている。中家にも小字で「さいのかみ」という地名もある。火祭りというのは、聖なる火ですべての悪災を焼き払うことである。道祖神は一般的には「塞ぎ」の神としてさいの神信仰と習合しているが、男女の神様を一対にしているものが多く、性の神様ともされている。元を創り出すという生産の象徴を表している。「縁結び」「夫婦和合」「安産」などにも祈願が広がっている。「塞の神」でも男女のシンボルをご神体として使っていた。

 「鳥追い」は鳥害を払う子どもたち中心の行事である。鳥による農産物の被害がいかに大きかったかを物語っている。鳥追い小屋という塔(さぎちょう)を木や竹で組んで空間をつくり、子どもたちがそこで鳥追いの前にみそぎをして身を清める。それが翌日のさいの神の火祭りの塔として焼かれて災厄を払うことになる。子どもたちの歌う「鳥追いの歌」は地域によって違うが、その場所での具体的な鳥害の様子が分かる。

 このように、小正月というのは後からできた行事ではなく、農村地域ではとても大事な行事であったということを皆さんから認識してほしい。また、子どもたちを大事にする日だともいえる。体験を語るより歴史を学ぶことが大事だと思う。

 

○意見交換

  • 新しい生命の大切さを教えることが大事だと思った。
  • 今のような話を地域におろして検証したい。コミ協などを通して地域で話してもらいたい。
  • 歴史が分からないと未来は語れない。このことを若い人たちに理解してもらいたい。
  • 私たちは歴史を否定された時代に教育を受けた。今このような話が聞けてうれしい。
  • いろいろな所でこのようなすばらしい話をしてもらいたい。
  • さいの神をやる日は小正月の前と後では意味が違うのだろうか?
  • 後からやった方が良い。現代の生活に合わせるのも仕方がないが、由緒ある昔からやってきたことを何とか残すことが私達の役割だと思う。
  • 意味をしっかり理解したうえで、参加しやすい日にするのも仕方がないと思う。ただし日にちの意義を伝えていくことは必要である。
  • この話は日本人として大事なことだと感じた。今はクリスマスやハロウィンなどの商業ベースにのる華やかなものが取り上げられてしまう。
  • 1月15日は日本人の元服の日。せめて成人の日の1日くらいは休日にしても良いと思う。
  • 八百万の神は日本の文化である。商業ベースではないものを大事にしたい。
  • 海で仕事をしている所ではこのような行事はあるのだろうか?
  • 海に限らず水に関しては、金比羅がある。土地柄によるところが大きいが、新潟県も蒲原では川が氾濫したため、信仰が根付かなかった。十二山の神は、元は民間信仰で中越地区が多い。
  • 魚沼はやはり米とあゆを大事にしたい。減反政策で日本人の心が失われたと思う。
  • 他はともかく、1月15日の日だけは何とか行事ができるようにしたい。
  • 「日本の歴史の再生を魚沼から」というようなキャッチフレーズをつくったらどうだろうか。市に提案した寺子屋のカリキュラムに結びつけるのも良いと思う。日本の歴史を子どもたちに伝えるために、昔語りやミュージカルなどで創作することもこれから考えた方が良い。