第4回生活自然環境部会

平成23年度第4回生活自然環境部会 議事録

○日 時   平成23年10月12日(水)19:00~21:00

○会 場   小出ボランティアセンター 1階多目的室

○内容

1.事前準備、打ち合わせ

1800集合 部員にて会場準備

・開会前に次回部会の打ち合わせを行う。

 11月26日(土)の有機センター見学の準備のためその前に部会を開くこととする。
 第5回部会を11/9(水)に開催→会場の確保は事務局で行う。→(小出庁舎301会議室で決定)

 11月26日(土)の見学会は12時30分に小出庁舎に集合する。(堀之内以外の方)
 その他、詳しいことは11/9の部会で検討。
 なお、11/8の部会の前までに11/26のとりまとめを行う。

 また、有機センター見学後、ごみ拾いを行う。
 ごみ拾いを行う場所(国道沿い?)及び雨天の場合の対応についても11/9の部会で検討。
 ゴミ袋の手配については事務局でお願いする。

 来年度の草花いっぱいの取り組みについて、2月までには部会としての取り組みの内容を考え、その後、すぐに国土交通省のサポーター制度への登録の申請を行う。

 

2.勉強会開会 生活自然環境部会研修会「魚沼の自然を知る」

講師 魚沼・小千谷地域理科教育センター 三津輪宏之 先生
茨城県出身。現在、小千谷から湯沢までの小中学校の先生に対する理科指導を行う。
直近では川口中学校で7年間在籍。

 尾瀬に学校の子どもたちを連れて行ったら感動した。しかし、尾瀬に行くことだけが目的ではない。その経験を通じて、地域に戻ってから身近な自然にも目を向け、自然の中でどう生活をしていけば良いか考えるきっかけとしてほしい。
 子どもたちには、特に魚沼の自然の豊かさを実感し、全国的にも誇れるものとしてほしい。

 

●どのように魚沼の大地ができたのか?

 フォッサマグナと魚沼については深い係わりがある。
フォッサマグナは糸魚川と静岡の構造線と思われがちで、糸魚川が有名となっている。(フォッサマグナミュージアム等の施設も有名)。本来、フォッサマグナとは「大地の割れ目」を意味する。
 このフォッサマグナの研究は、ナウマン像で有名なエドモント・ナウマンによる日本の地質学の研究によるもの。
 構造線は、糸魚川-静岡だけではなく柏崎-千葉間の構造線もある。
この二つの構造線の間の部分(線ではなく面)をフォッサマグナと言う。
 2000万年前ユーラシア大陸の一部だった日本は、地下からの大規模なマグマの上昇により大陸から切り離された。
その際に、日本が現在の構造線の位置で割れ、その部分が大きく陥没した。
その後、陥没した場所には海水が流れ込み海となり、陸地のまま残った部分からは、土砂が流れこみ堆積していった。また、その海底には火山も存在し、その火山灰も堆積していった。
長い年月をかけてそれら堆積したものがやわらかい岩盤を形成していった。(これに対して、もとから陸地の部分については硬い岩石が形成している。)
 日本列島はその後に隆起を始め、糸魚川-静岡から西と柏崎-千葉から東の硬い層が両側から圧力を加え、そのことにより陥没していた部分(フォッサマグナ)も徐々に隆起し陸地となった。
その際に、両側から押されたことによりフォッサマグナの地層がしゅう曲し、細かな山ができた。糸魚川-静岡と柏崎-千葉の構造線を境に、山の形状がはっきり違うのが分かる。
 もとから陸地の部分の山脈は2000~3000m級の険しい山々があり、糸魚川-静岡は北アルプス山脈、柏崎-千葉は越後山脈があるがそのことからも分かる。
 このほか新発田から湯沢まで延びる新発田-小出構造線も存在する。
 この構造線を境に、海側が昔海底だったやわらかい岩石の層、山側が昔から陸地のままであった硬い岩石の層で、魚沼市内では概ね破間川が境となり右岸側と左岸側でそれぞれの地形の状況が異なっている。
 これらの地質の違いは、近年発生した水害や地震災害による地すべり地域の分布と一致しており、新発田-小出構造線上の破間川(入広瀬~小出)・魚野川(小出~湯沢)よりも西側のやわらかい岩石の層ではそういった状況が見られる。
 また、入広瀬・守門に残る火山灰層(グリーンターフ)は、昔の海底火山の影響が残っている。

 

●ふるさとの山河

 小出という場所は、北は守門岳・浅草岳、東は越後三山、南は群馬県の県境の谷川岳・平標山・朝日岳からの約855km2の降水が集まる地域となっており、そのために、降水による影響を受けやすい。
 下流の川口で信濃川と合流するが、信濃川の水量が多いと魚野川の水が流れ込むことができなくなり、上流への影響もある。
 しかし、今回の豪雨でそういった影響がなかったのは、川の特性によるところがある。
信濃川と魚野川は勾配を比較するとその差はあまりないが、魚野川は河床のデコボコが少なく川の流れが速いのに対して、信濃川はデコボコが多いため川の流れが遅い。
その差が、先に魚野川で降った水が先に信濃川に流れ込むことができることにつながり、結果的に助かった。

 

●川と森のつながり

 森は成長して行き、最終的には少ない日照でも安定した成長が可能な陰樹(ブナ・ミズナラを中心とした落葉広葉樹林)へと変化していく。
 100mm位までの降雨は陰樹のような森のスポンジに浸み込み蓄えることができる。
スポンジに蓄えられた水は一気に流れない。普段流れる川はスポンジに蓄えられたもの。保水力が豊富な成熟した陰樹林は、大雨による洪水被害を緩和する重要な役割をになっている。中越地域の植生を見ると標高が高い所にはブナ、低い所ではミズナラ(どんぐり)がある。
 人間が住んでいなかったらこの地域はブナが多く占めていたと考えられる(ブナの生えやすい地形)。ブナは水を多く含んでいるため、木が乾燥しない。そのため建築用としては向かない。
 杉は、戦後に植林されたもので、保水効果はあるが、まだ若いので保水効果は期待できず、今後、維持して年が経たなければだめ。

 

●身近なところにこんな素敵な自然が

・近くの絶景の渓谷
佐梨川の源流はすばらしい渓谷。下流は川遊びに絶好の川。水生生物の宝庫でもある。
PRが少ないためか来訪者が少ないが、それが逆に良い。

・奇石「たまご岩」
たまご岩のある平ヶ岳は1億年前の「花崗岩」
岩の割れ目(節理)に水が入り体積が増して周りを押し広げ、長い年月をかけて今の形となる。
 今後、また長い年月をかけて新たなたまご岩もできる可能性はある。

・懐かしき里山「福山」
 懐かしき里山がここにはある。
春、オオルリ・日本三大名鳥。ギフチョウ(蝶)・春の女神。
夏、ハッチョウトンボ。尾瀬に行かなくとも見れる。
秋、オオシラヒゲ草。盗掘が相次ぎ、今後が心配なところ。

・昔に噴火した火山の今「浅草岳」
 今から160万年前に噴火した火山。火山岩である安山岩でできている。山の頂上がなだらかな形をしているのは、雪国の特徴で積もったときの雪が流れるときに、一緒に土や岩が崩れて流れるためえぐられたもの。

・知る人ぞ知る魚沼のミニチュア尾瀬「田代平」湿原

・原虫野のザゼンソウ群生地

 ・太古の太平洋の海底でできた山
 上・下権現堂山、唐松山。
海底に降り積もった生き物の死骸が、海底にあるときに海溝にプレートが沈み込む際に海溝付近に引っかかり(ゴミが溜まる感じ)層となった。
 その後、海底が盛り上がる際に花崗岩の上に乗って地上に押し上げられたもの。
とても硬い岩のチャートと硬くてももろい頁岩の層となっている。ねこ岩は長年の雨による侵食で硬い部分が残ったもの。薮神ダムは硬いチャートが残った部分を活かして作ったもの。

・中山隧道としましま模様の地質
 破間川西側の丘陵(しましま模様)は砂と泥の互層。今から数百年前に積もった。中山隧道はこういった泥(魚沼層)と砂(白岩層)の固まりを掘るようなもので、崩れやすく大変だった。何も知識もなく、補助金もない状況の中でやったことはすごいこと。

 

●子どもたちに環境教育を

 尾瀬における環境教育として、魚沼尾瀬学校の取り組みがある。尾瀬は国立公園。高地に存在する広大な湿原として世界でもまれな特殊な地域。その国の自然環境を象徴するものであり、国全体で保存されている地域として、どう守り、どう維持していくか子どもたちに伝える。
 環境教育に責任をもつ「人づくり」の場、環境を守るための行動について自ら学ぶ場、また環境教育の実践の場として、尾瀬は、環境をとらえる全ての視点が学べるところ。(循環・保全・有限性・共生・生態系・多様性)
 具体的な方法としては次のとおり。

・まずは大自然の観察。
 立ち枯れた木を残すことも国立公園の考え方。その中には動物のえさ(昆虫等)があり、枯れた木だけでなく倒木や枯れ枝のように一見役に立たないものも、自然の中にはそれぞれの役割がある。次の世代へ引き継ぐ循環の考え方がそこにある。
尾瀬の水が下流の河川を形成している。下流の環境は上流の人たちが支えている。

・尾瀬の自然保護の原点を知る。
 平野家三代の自然保護運動。日本の市民による自然保護運動の先駆け。

・国立公園の自然保護を知る。
 昭和40年代ごろ尾瀬の状況は登山者の出すごみの問題や木道の整備が行われていないため、人が湿原に踏み込むことによる荒廃が進んでいた。
 その後、ごみの持ち帰り、木道の整備(複道化)、下水処理施設の整備につながった。

・自分でできる自然保護を体験する。
 トイレの使用が寄付制。払わなくとも使用ができるが払ったお金がどう使われるか考えることができる。(寄付が尾瀬の自然を守っている。)
尾瀬に行って残さずに食べることも残飯を減らすことにつながり環境を守ることにつながることを学べるごみ拾い活動から「うっかりゴミ」の存在に気づく。

 ※「うっかりゴミ」は意図的に捨てたものではなく、ポケットから本人が気づかずに落としたりするようなゴミのこと。

・最後に地域の環境の課題と関連づける。
 自分の地域に戻ってきてから、改めて身近な環境問題(不法投棄の問題、希少植物の盗掘の実態、里山の荒廃等) に対して、尾瀬の体験を活かして考える(環境学習)きっかけとする。
実は、尾瀬は遠いものではなく、私たちの住む町とつながっている。赤とんぼ私たちの地域で生まれ尾瀬に行って赤くなってまた地域に戻ってきている。